生産性と環境配慮の両立ができる持続可能な農業として、野菜と魚の生産はもちろん、「資源」「エネルギー」「人」「情報」などの循環をつくることが可能です。アクアポニックスは単なる循環型の生産システムではなく、循環型ビジネスの一つのパーツとして自社の強みに合わせてデザインすることでより大きな価値を生み出します。アクアポニックスが日本中に広がることは、資源やエネルギーの効率的な利用につながり、組織や地域などのコミュニティ活性化にもつながります。
アクアポニックスで最も大事なことは、“バランス” です。魚に与えるエサは、魚のフンとなり、微生物が分解して、植物の栄養となります。魚・微生物・植物の3者が生態系をつくり、バランスよく循環する仕組みを整えることが大切です。
循環バランスを整えて、アクアポニックスを機能させるためには、次の要素についての、選択・設計・調整がポイントになります。
アクアポニックスのシステムは、植物の水耕栽培装置と、魚の飼育装置の2つに分かれます。
魚の飼育装置は、基本的に淡水魚用の閉鎖循環式陸上養殖システムです。飼育槽、ろ過槽(物理ろ過と生物ろ過)、水流ポンプ、エアポンプで構成されます。
これらを配管で植物の水耕栽培装置につなぎ、魚の飼育水を循環させることで、植物を栽培します。
アクアポニックスは、屋外・屋内どちらでもシステムを構築することができます。
屋外に設置するシステムは、植物の成長に日光を利用するため、太陽光型システムと呼ばれます。ビニールハウスなどの温室栽培もここに含まれます。
屋内に設置するシステムは、日光の代わりにLEDライトを利用するため、LED型システムと呼ばれます。
水耕栽培装置にはいくつか種類があります。用途、植物品種、外部環境に合わせて選びます。
一般的に、大型の商業用農場にはDWCやNFTを採用します。一方、家庭菜園などの小規模菜園では、ハイドロボールなどの培地を利用したF&Dを採用します。
薄膜水耕(はくまくすいこう) 樋やパイプ内に水を流して植物を栽培する
潅液水耕(たんえきすいこう) 水槽に浮かべた水耕パネルの上で植物を栽培する)
礫耕栽培(れきこうさいばい)培地を敷きつめた栽培槽にオートサイフォンを付けて植物を栽培する
リーフレタスなどの葉物野菜やハーブ類が主です。他にはトマト・イチゴ・メロンなどの果菜類、バナナ・パパイヤなどの果樹やエディブルフラワーまで、幅広く育てることができます。
イズミダイ・チョウザメ・ホンモロコなどの食用淡水魚が主です。海水魚やオニテナガエビでも試験中です。観賞魚では、錦鯉、金魚、熱帯魚なども育てられます。
キャビア収穫まで数年を要するチョウザメは、出荷までの時間が従来の半分ほどになる品種を取り扱っています。