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本当に可能なの?魚のフンだけで健康的な野菜を育てる方法

生産管理支援

持続可能な農業の新たな形、「アクアポニックス」。魚のフンで野菜を栄養豊かに育てるこの方法は、環境にも優しく効率的です。
しかし、「本当に魚のフンだけで全てが賄えるのか?」という疑問を持つ方もいるかと思います。
この記事では、そんなアクアポニックスがどのようにして野菜に必要な栄養を提供できるのか、その秘密に迫ります。

1. アクアポニックスの基本理解

  • 1-1. アクアポニックスのシステム概要

アクアポニックスは、水耕栽培と陸上養殖を組み合わせた持続可能な農法です。
魚の飼育において、エサを与えると魚はフンをします、そのフンからアンモニアが発生します。このアンモニアは微生物によって亜硝酸と硝酸に分解され、これらが植物にとって利用可能な栄養源となります。このプロセスにより、魚と植物は互いに利益をもたらす関係を形成し、外部からの肥料や飼料の必要性を大幅に減らします。そのため、資源効率の向上や環境負荷の低減にも役立ちます。
また、それ以外のアクアポニックス利点として、水の再利用を通じて水資源の節約を行うことが可能です(慣行農法の70~80%の節水効果)。
さらに、従来の農業方法に比べて土地の使用効率が高く、都市部での食料生産にも適しています。

毎日の給餌が植物を大きく育てる
  • 1-2. 魚のフンが野菜の栄養源となるプロセス

システム内で魚に餌を与えると、その消化過程でフンが生じます。このフンは、主にアンモニアを含んでおり、これが水中で微生物によって硝酸塩へと変換されます。硝酸塩は植物が容易に吸収できる形の窒素源となり、植物の成長に必要な主要な栄養素の一つです。この自然な循環により、化学肥料の使用を減らしながら、効率的に植物を育てることが可能になります。硝酸塩以外にも、このプロセスは植物に必要な他の微量栄養素も供給するため、全体的な栄養バランスを改善します。また、微生物の活動はシステム内の水質を維持するのにも重要な役割を果たします。

その循環の仕組みから、アクアポニックスは「小さな地球」とも言われる

2. 魚のフンで栄養が十分か

  • 2-1. 魚の種類とフンの栄養成分

細かいことを言えば、魚種によってフンの成分は多少異なりますが、一般的にはアンモニアが主成分です。たとえば、ティラピアや鯉、金魚のような魚は、比較的多量のフンを生成し、それが豊富な窒素源となるため、アクアポニックスには適した魚ということができます。また、十分なアンモニアを排出するためには、エサがしっかりとタンパク質を含んでいる必要があります。ティラピアは雑食ではありますが、その点を踏まえてエサを検討する必要があります。エサの自作や、一部の浮草をエサとして与えることも可能です。しかし、栄養価のバランスが悪いと、魚の健康状態にも問題が起きてしまいます。そのため、市販されている魚のエサを使うことがおすすめです。

ティラピアはアクアポニックスにおいて最も飼育されている魚
  • 2-2. 栄養成分の吸収と野菜の成長への影響

アクアポニックスにおける植物の成長は、利用可能な栄養素に大きく依存します。硝酸塩は植物が必要とする主要な窒素源であり、これが十分に供給されていない場合、植物の成長は妨げられます。微生物によるアンモニアの硝酸化過程が効率的であればあるほど、植物はより多くの栄養を吸収することができます。また、植物にとって必要な他の栄養素も補足的に添加する必要があるかもしれません。このため、定期的な水質検査と栄養素の調整が重要となります。栄養素の不足が見られる場合は、その不足を補うために栄養素を添加することが必要です。

定期的な水質検査が非常に重要
  • 2-3. 必要に応じて追加する栄養素とその方法

このシステムでは、魚のフンだけでは提供できない栄養素がいくつか存在します。例えば鉄は、植物が光合成を行うために必要不可欠な元素であり、その不足は植物の成長に直接的な影響を与えます。しかし、アンモニアからは生成することができません。そのため、適切な濃度になるよう鉄を添加することで、植物の健康と成長を促進させることが可能です。これらの栄養素は液体や粉末の形で直接水の中に添加することが一般的ですが、これには注意が必要です。過剰に栄養素を添加すると、水質が悪化し、魚に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、水質検査の結果とシステム全体の水量から必要な投入量を計算して施肥を行います。非常に難しいように聞こえるかもしれませんが、すでに関数が組み込まれた「施肥量計算シート」を使うことで、簡単に投入量を求めることが出来ます。施肥量計算シートはアクアポニックス・アカデミーの受講生に配布しています。

アクアポニックス・アカデミーの詳細はコチラ

水質検査について学んでいる様子(アクアポニックス・アカデミー)

3.まとめ

アクアポニックスにおいては、魚のフンから供給される栄養素が植物の成長に不可欠ですが、全ての栄養素が十分に供給されるわけではありません。特に、鉄などのミネラルは追加で必要とされることが多く、これらは植物の健康と成長に重要な役割を果たします。システムの設計と管理において、これらの栄養素を適切に管理することが、植物の最適な成長と収穫量を確保する鍵となります。また、定期的な水質検査と栄養バランスの調整が、システムの安定と効率を高めるために不可欠です。さらに、アクアポニックスにおいては、植物の生育に必要な微量元素のバランスを保つための監視が重要です。特定の栄養素が不足している場合は、それを補う形で外部から添加することが求められますが、その際の添加剤の選定や投与量の調整には、慎重な計画と管理が必要です。もちろん化学物質を含んだ物質を使うと、微生物や魚に影響が出てしまうので使用できません。どのような資材なら使用できるのかも学んでおく必要があります。これらの特徴を理解して運営することで、植物は健全に成長し、生産性を最大限に引き出すことが可能となります。

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日時:毎週水曜・土曜 10:00~11:00
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神奈川県藤沢市にある試験農場と生産農場を同時に見学できます。
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アクアポニックス・アカデミー
日本初のアクアポニックスについて基礎から応用まで体系的に学ぶことができる学校。
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