アクアポニックスを始めたばかりの人
「魚がすぐに死んでしまったけど、原因がわからない」
「植物が枯れてしまう、どう対策すればよい?」
「アクアポニックスを始めてみたいけど、うまく運用できるか不安」
この記事では、こういった悩みを解決します。
アクアポニックス初心者やアクアスプラウトSVを使用している方はぜひご覧ください。
√本記事の内容
1 【超基礎】アクアポニックスの循環について
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- 循環立ち上げとは?
- 循環を立ち上げる方法
2 アクアポニックスで起こる問題と対策
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- 魚が死んでしまう
- 植物が枯れてしまう
- 水が緑色に濁(にご)る
3 アクアスプラウトSVで起こる問題と対策
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- 小魚が水中ポンプに吸い込まれる
- ハイドロボールがライトスタンドの接続部に落ちる
【超基礎】アクアポニックスの循環について
アクアポニックスの循環について解説します。
循環立ち上げとは?
アクアポニックスの循環サイクルが出来ると魚と植物の両方にとって快適な環境が整います。この循環に重要な役割を果たすのが微生物です。微生物は生活しやすい環境があると、自然に増えていきます。
循環に十分な数まで微生物を増やすことを、循環立ち上げと呼びます。
循環立ち上げには、1カ月程度の期間が必要です。
専門用語では、この微生物の働きを硝化サイクルと言います。有害な魚の排せつ物(アンモニア)を硝酸塩(植物にとっての栄養素)に変化させ、植物はこれを肥料として成長します。
循環を立ち上げる方法
<循環立ち上げに要する期間:約1カ月>
・アクアポニックスシステム
・魚(丈夫な金魚・鯉・ティラピアがおすすめ)
・魚のエサ
・エアー(ぶくぶく)
・ポンプ
①ポンプを稼働して水を循環させた状態を維持する(ポンプとエアレーションは24時間稼働)
②システムに魚を投入する。(最初は少なめに)
③毎日魚にエサを少しずつ与える。(1分以内で食べきれる量)
④毎日アンモニア、亜硝酸塩、硝酸塩濃度をチェックする。
※アンモニア濃度が3mg/L、または亜硝酸塩が5mg/Lを超えたら一時餌やりストップ
⑤アンモニアと亜硝酸塩濃度が0に近くなり、硝酸塩の発生を確認できれば、循環が立ち上がっている証拠です。これ以降は追加の魚を投入し、植物を植え付けてOKです。
循環がうまく回り始める(微生物が定着する)と、アンモニアは硝酸塩に分解されて、植物の肥料になります。そのため、アンモニア値は下がっていき、ほぼ0に近い値で安定します。
また植物が硝酸塩を吸収することで、水がキレイになり、魚にも良い環境ができます。
水が循環して、魚・植物・微生物が共生する(生態系をつくる)ことでアクアポニックスは成り立つのですね。
アクアポニックスで起こる問題と対策
アクアポニックスで起こる問題とその対策をまとめました。
魚が死ぬ
急激な水質悪化が生じると魚は死んでしまうことがあります。特に魚を水槽に入れたばかりの循環立ち上げ当初は微生物が不十分なため、水質が安定しません。具体的な対策は以下の4つです。
- 魚の数を少なめに入れる
- 魚のエサやりの回数や量を少なくする
- 魚の元気がない時や水が汚れた時は、水換えをする
- 金魚などタフな魚を入れる(※)
循環立ち上げ期間は、これらのいずれか(すべてやるとなお良いです)を行うことで、水質が悪化しにくくなります。約1カ月後に循環が立ち上がったら、これらの対応は不要になるので、管理も楽になるはずです。
特に、魚を始めて飼育する方などは過密状態になりがちです。
確かに、水槽の中にたくさんの魚が泳いでいると鮮やかでよいですよね。
しかし、過密状態になると、魚にストレスがかかり病気になりやすくなるほか、水質悪化もしやすくなります。
水量に対して、十分な余裕をもって飼育するようにしましょう。
(基本的に、魚の体長1㎝に対して水1Lと言われています)
※循環立ち上げが終わったら、魚種は変えてもOKです。
植物が枯れる
アクアポニックスで植物が枯れる原因は以下の5つです。
- 循環立ち上げ期間に植物を植えた
- 肥料不足
- 光不足
- 種から育てる
- 苗の根をキレイに洗っていない
それぞれ対策や改善策をお伝えします。
【原因①】循環立ち上げ期間に植物を植えた
魚の飼育を始めてから約1カ月後に苗を植えてください。1カ月経つと微生物が自然発生して、魚の排せつ物(アンモニア)を肥料(硝酸塩)に変化させるからです。
つまり、微生物が不十分な状態で野菜を植えると、十分な栄養が供給できないということですね。
【原因②】肥料不足
野菜の肥料は、魚の排せつ物が分解されてできた硝酸塩です。肥料不足は魚のエサを増やすことで改善を図りましょう。(商業用では不足する栄養素は追肥します)
肥料不足の症状としては、
・葉が全体的に黄色くなる
・葉先が枯れこむ
・葉が丸まってくる
などがあります。栄養素が増えることで、元気な新芽が出てきますが、一度黄色くなった葉は戻りません。
【原因③】光不足
光が不足すると野菜は育ちません。屋内栽培では、植物専用のLEDライトを使用する必要があります。野菜の種類によって屋内栽培に向かない場合がありますので、事前に確認してください。
また、光が不足すると「徒長」と言われる、枝同士の間隔が広くなり、ひょろひょろとした苗になる現象が見られます。
【原因④】種から育てる
アクアポニックスシステムへ種を直播きしてもうまく育ちません。まずは苗を育てて、その苗をシステムに植えつけましょう。苗を育てるのは時間がかかるため、市販の苗を購入するほうが簡単です。
水耕栽培用の苗はコチラからも購入できます。
おさかな畑
【原因⑤】苗の根をキレイに洗っていない
根に土が付いている場合、土をキレイに洗い流してから植えてください。根に土が残っていると根腐れの原因となるからです。根腐れすると、野菜は育たずに枯れてしまいます。
水が緑色に濁(にご)る
魚の飼育を続けていくと、水槽の水が薄い緑色になることがあります。水槽に日光が当たっている場合は遮光(しゃこう)しましょう。
野菜が少ない場合は増やしてください。それでも改善されない場合、水質検査を行い、水質に問題がないかを確認します。水質が悪ければ、水替えや掃除を行ってください。水質に問題がない場合は、見た目を気にされる人は少しずつ水替えを実施しましょう。
アクアスプラウトSVで起こる問題と対策
次にアクアスプラウトSVで起こりうる問題とその対策について解説します。
小魚が水中ポンプに吸い込まれる
小魚は水流の影響を受けて体力を消耗します。小魚が水中ポンプの吸水口に吸い込まれてしまうのは、弱っていた証拠です。吸い込まれないために、水中ポンプの付属品(ストレーナー)を使用します。また水中ポンプの給水量を弱めに設定すると、小魚は吸い込まれにくくなります。
ハイドロボールがライトスタンドの接続部に落ちる
野菜ベッドの両端にライトスタンドを接続するための穴があります。ライトスタンドを外す際は、接続部にハイドロボールが落ちないようにビニール袋等でカバーをしてください。
「家庭用アクアポニックスで起こる問題と対策」をご覧いただき、ありがとうございました。
循環立ち上げ期間は、水質が不安定になるので注意が必要ですが、ここを乗り切ると管理は楽になってきますよ。
アクアスプラウトSV以外に、屋外向けのアクアポニックスキットもありますので、ぜひご使用ください。商品に関するご質問やご使用後の感想は、気軽にお問い合わせください。
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