• ホーム
  • お知らせ
  • アクポニ栽培アプリ < アクアポニックス 生産現場のあらゆる情報を一元的に記録・集計・分析>

アクポニ栽培アプリ < アクアポニックス 生産現場のあらゆる情報を一元的に記録・集計・分析>

代表ブログ

人が行う作業、環境データ、生体のデータを収集して統合的に分析することで、 アクアポニックス のスピーディーなノウハウ蓄積と生産の安定化、リスクマネジメントを実現

会社・事業概要

株式会社アクポニ(所在地:神奈川県横浜市、代表取締役:濱田健吾、URL:https://aquaponics.co.jp/)は2014年に創業した アクアポニックス の新規導入支援を行う会社である。神奈川県藤沢市に環境の異なる4つの試験農業をもち、その研究開発から生まれた成果を、商品・サービス化して、生産者へ還元している。

当社のサービスはワンストップで、人材教育から導入コンサルテーション、農場の設計施行、運用後の生産管理支援、保守、流通支援と、アクアポニックスを導入するうえで、必要となるすべての困りごとに対してサービスを提供している。これらすべては選択制で、お客様の状況に合わせて選択、利用できることが特徴だ。当社のパッケージ農園は規模、目的、タイプ、予算別に20を超え、最も低コストで国内外へ提供している。

日本においては、日本最大規模を含む60農園(2025年9月時点)の導入支援を行っており、最もお客様に選ばれている企業として、業界を牽引している。2025年4月には大学や企業と連携してアクアポニックスの業界団体「アクアポニックス推進協会」を設立し、アクアポニックス業界のさらなる発展へ向けて尽力している。

デジタルテクノロジーとの親和性が高い「 アクアポニックス 」

当社は他社に先駆けてテクノロジーを導入し、“データの収集と活用”を核とした生産管理技術を磨いてきた。これはまさに、当社のコア技術である。私自身が元Amazon、CTOは元IBMと、経営陣がテクノロジー分野に精通していることに加え、私が2017年から2019年にかけて米国の広大なアクアポニックス農場で研修を受けた際、現地でその必要性を強く実感したことが、システム開発のきっかけとなった。

アクアポニックスはもともと施設園芸の一種であり、環境制御が可能な点でテクノロジーとの親和性が非常に高い。また、日本ではまだ新しい技術であり、生産管理におけるデファクトスタンダードが確立されていないため、最初からデジタルを前提とした生産体系の構築が可能であるという特長がある。

当社では、自社で培った最先端のデータ活用による生産管理手法を新規参入企業に提供しており、導入先でも同様の管理手法による運用が実現されている。既存産業ではDX(デジタルトランスフォーメーション)の実現が困難とされる中、アクアポニックスは最初からDX化を前提として導入・展開されるため、その進化スピードも非常に速い。

アプリケーションの開発経緯・目的

2019年7月、アメリカからの帰国直後に、現地での実体験をもとに アクアポニックス 専用の生産管理アプリの開発に着手した。自社農場で約2年間にわたり試験運用を重ねた後、2022年10月に、当社システムの導入者を対象とした「アクポニ栽培アプリ」の提供を開始した。

アクアポニックスでは、生育環境を常に把握し、魚と植物の循環バランスを適切に維持することが重要である。当社が運営するアクアポニックス・スクール「アカデミー」で学んだ内容が現場で正しく実践されているか、トラブル発生時に適切な対応ができているかを、リモートからも確認することで、全体の品質を大きく向上させることができる。

このアプリにより、作業記録や環境データ、生体データをデジタルで一元管理し、遠隔地からでもリアルタイムに状況を把握できるようになった。その結果、現場の対応力と生産の安定性が向上している。さらに、本アプリには、エネルギーや資源の利用効率を可視化する機能も備えており、二酸化炭素、窒素、水の削減量を数値として把握することが可能である。これは、アクアポニックスの持続可能性の裏付けとなると同時に、商品の付加価値を高めるうえでも大きな意義を持つ。

生産現場でのアプリの活用

「アクポニ栽培アプリ」は、アクアポニックス専用に開発された生産管理アプリであり、作業、環境、生育といった生産現場のあらゆる情報を一元的に記録・集計・分析できる点が最大の特徴である。

作業内容(給餌、施肥、定植、収穫、水質検査、生育状態等)に加え、IoTセンサーによって気温、水温、湿度、pH、EC、溶存酸素、塩分濃度など最大10項目の環境データを自動取得し、クラウド上に蓄積できる。これにより、従来は熟練者の経験や勘に頼っていた判断を、数値に基づく科学的な管理へと転換することが可能となった。

本アプリでは「人が行った作業」「生体の状態」「環境データ」を同時に記録・分析する仕組みを備えており、水温やpHなどの推移だけでなく、その時点の作業や生体の変化を関連づけて確認できる。これにより、より精度の高い原因分析や異常の早期発見、的確な対応が可能となっている。

※アクポニ栽培アプリは、各種センサーやカメラと連携可能である。IoTセンサーは株式会社スーパーアプリが提供する「マナシステム」を標準装備している。

アプリに内蔵されたアクアポニックス専用の栽培テンプレートにより、誰でも簡単に作業記録ができるよう工夫されており、記録データはグラフやレポートとして自動集計される。特にレポート機能では、生産管理上重要な項目を指標化して提示するため、改善点の把握やトラブル時の対応策の検討にも有効である。

この栽培レポートにより、リモートでの生産支援が可能となり、現地指導にかかるコストの大幅な削減にもつながっている。これらのレポートにはアクポニのこれまでの栽培ノウハウが反映されており、提供先のユーザーからも「使いやすくてわかりやすい」と高く評価されている。

現場で進化し続けるアプリケーション

当社では、リモートで生産管理支援サービスを提供する顧客に対して、重要な作業の記録をアプリ上で行うことを推奨している。環境バランスが崩れた際も、作業履歴から原因を特定しやすくなり、改善のスピードが格段に向上するためだ。実際、高い生産実績を上げている生産者ほど、日々の記録やデータ確認を丁寧に行っており、データに基づいた栽培管理が品質と収量の安定に直結していることを示している。

アクポニでは、開発したアプリを自社の生産現場で日常的に使用しながら、使いづらい点の改善や現場ニーズに基づいた機能追加を重ねてきた。研究開発メンバーが日々の栽培管理とアプリ活用を実践しており、現場での気づきがそのまま改善提案につながる体制が、継続的なアップデートと現場目線の開発を支えている。

さらに、蓄積されたデータはチーム内での情報共有にも有効であり、作業実施状況や環境変化を互いに把握しやすくなることで、連携のとれたチームワークが育まれている。複数拠点にまたがる運用であっても、作業・環境・写真データの共有によって一体感のある生産体制が構築できている。

導入事例

現時点で全国25農場に導入。アクアポニックスの生産管理アプリケーションとしては日本最大の導入数となっており、今後も拡大傾向にある。

導入者は、本アプリを利用して、リーフレタス、トマト、ハーブ等を多品種栽培しながら、チョウザメ、ニジマス、ホンモロコ等の淡水魚を養殖している。複数名による生産管理の情報共有や、新人育成の効率化に大きく寄与しており、廃棄率の低減や市場出荷品質の均質化といった成果が出ている。他の養殖施設や福祉施設においても、本アプリの導入が進んでおり、スピーディーにノウハウが蓄積できることで、運用の標準化と拡張性の両立実現を早めている。当社の導入者の95%は異業種参入であるなか、生産面においてほぼ全ての農園で1年以内に自立することができている。

サービス形態と料金体系・入手方法

本アプリは標準装備として、IoTセンサー「マナシステム」と「AIカメラ」がセットで提供されており、利用者の規模や運用体制に応じて以下の3つのプランが用意されている。

なお、センサーは貸与制であり、年2回の電極交換(校正済)が付帯されている。これにより測定精度を保ちつつ、現場における保守管理の負担も軽減される仕組みとなっている。

今後の展望と業界への影響

現在、アプリに蓄積されるデータをもとに、以下の3点が実現できている。

  • 品種ごとに最適な生産設備の構築
  • 品種ごとに最適な栽培指導
  • 資源循環の可視化(二酸化炭素、窒素、水の削減量を数値化)

今後は、収量予測やエネルギー・資源利用効率の自動算出機能の追加も計画しており、より精緻な経営判断に資するレポートの提供を目指している。また、人手による記録は手間や記載ミスの原因にもなるため、IoTボタンやAIカメラを活用した自動記録・省力化も進めていく予定である。さらに、生産だけでなく、“調達”や“流通”とのデータ共有により、サプライチェーンの最適化も図っていく。

2025年4月に発足した業界団体「アクアポニックス推進協会」では、本アプリを活用した標準管理手法の確立と、その全国展開を進めている。自治体、教育機関、研究機関と連携することで、アクアポニックスを中核とした地域資源循環モデルの社会実装が加速している。

今後は、アプリを通じて全国の生産者が匿名でデータを共有・参照できる「集合知」型のプラットフォーム構築も計画されている。これにより、初心者が他の生産者の成功例や注意点を学びながら、自農場の管理に役立てることができるようになる。再現性のあるモデル農場の設計や、予測精度の高い施肥・給餌計画の策定が可能となることで、アクアポニックスの安定化と普及がさらに進展するであろう。

「アクポニ栽培アプリ」は、単なるICTツールにとどまらず、持続可能な農水産業を支える基盤インフラであり、次世代の生産者育成や産地形成の支援装置としての役割も担っている。今後も多様な導入ニーズに応えながら、その機能と社会的意義を拡充させていく方針である。

※本記事は、養殖ビジネス7月号への寄稿記事です。

<お知らせ>
株式会社アクポニでは、無料のアクアポニックス説明会を実施しています。
アクアポニックスの仕組みや活用事例など、まずは情報収集をしたいという方におすすめです。
ぜひお申込みください。

日時:毎週水曜 10:00~11:00
形態:オンライン(水曜)

農場見学
神奈川県藤沢市にある試験農場と生産農場を同時に見学できます。
農場見学について

アクアポニックス・アカデミー
日本初のアクアポニックスについて基礎から応用まで体系的に学ぶことができる学校。
アクアポニックスを学ぶ

オンラインショップ「おさかな畑」
家庭用キットやアクアポニックスに必要な資機材を販売中
おさかな畑HP
記事一覧へ

CONTACTお問合せ

ご興味がありましたら、お気軽にWebフォームよりご連絡くださいませ。