こんにちは!ハワイでアクアポニックス研修中の大竹です。
前回、アクアポニックスの栽培システムが手作りされていることを紹介しました。それ以外にも、ここili’ili farmでは、様々な手作りの設備、工夫が見られます。知っておくと非常に有益なものばかりです。
今回はアクアポニックス農園の周辺設備についてレポートします!
<苗を育てる育苗設備>
ili’ili farmでは野菜の種をアクアポニックスのシステムに直接まくことはなく、2週間育てた苗を野菜ベットに移しています。その育苗期間に使用するのが手作りの育苗設備です。
育苗設備は太陽光パネルによって充電されたバッテリーを動力にポンプを動かし、1日3度ほど水を苗に与えるようにタイマーでセットされています。
ポンプでくみ上げられた水は、苗が置かれたトレーに送られ過剰な水は再びタンクへ戻るようになっており、水を再利用する仕組みになっています。
ハワイは島国であるため水は貴重です。スプリンクラーを使用して散水する方法もありますが、必要以上に多くの水が消費されてしまうため、こうした水を循環させる仕組みは水を無駄にしないよい設備だと思います。
また、水のタンクは太陽光パネルの下に設置されています。これは強い日差しの下でも太陽光パネルの影となるため、水温が上がりにくくする工夫です。
太陽光で暖められた水は、熱いお湯になることもあり、そのまま散水することは苗によくありません。水タンクは常に屋外にあるため、水が温まりにくくすることはとても大切なのです。
更にこの育苗設備では自動給水機が取り付けられています。タンクの水は苗が吸収したり自然に蒸発することで減りますが、自動給水機によって補充されるようになっているため人の手で水を足す必要がありません。
こうしたいくつもの工夫によりこの育苗設備はほとんど手がかかりません。播種後、苗を置いてしまえば、移植までの2週間は特にすることはなく、システムが稼働しているかのチェックをすることくらいです。
<自動給水機は魚タンクでも>
育苗設備で使われている自動給水機は、ティラピアのいる水槽にも設置されています。
アクアポニックスは通常の農業と比べて90%近く水を消費しない農法ですが、水は蒸発などによって自然に減ってしまいますので、給水を自動化することは一つ管理する項目を減らせることにつながります。
管理するものが減れば労働時間の削減にもなるため、こうした小さな工夫は効果的です。
<農薬を使わない害虫対策>
クレソンの野菜ベットを見てみると、上部にスプリンクラーがついています。これはクレソンにつく虫を追い払うためのものです。スプリンクラーにはタイマーがついており、1時間に一度水を散布することで葉に着いた虫を追い払います。
アクアポニックスでは魚タンクと野菜ベットで水が循環していることもあり、魚に有害となる農薬を使用することはできませんが、この設備は農薬を使わない大変優れた工夫です。
散布された水はDWCのプールの中に入りますので、水を無駄にしないという面でも素晴らしい設備だと思います。
<自動給餌機>
アクアポニックスにおいて魚への給餌は、魚を育てるためだけでなく、野菜に栄養を供給するためにも必要なことです。
しかし、何かの都合で魚にエサを与えられないこともあると思います。そんな時に便利なのが自動給餌機。ili’ili farmでは自動給餌機も手作りです。
エサを入れるポリバケツのようなタンク、エサを射出する回転体のついたモーター、タイマー、バッテリー、太陽光パネルで構成されています。
バッテリーは太陽光パネルから電気が供給されるため、タンクの大きさ次第では1か月でもエサやりを不要にできそうです。これがあれば商業的アクアポニックスでも完全休日を作ることが可能となるでしょう。
<よりオーガニックな農場を目指して>
ili’ili farmの設備は、人の作業負担を減らすような配慮が随所に見られます。これは従業員が働きやすいだけでなく、経営者自身の負担も減らし労働時間の削減につながっています。
農業は一般的に身体的にも負担が大きく、休みが取りにくい面がありますが、それを克服するような設備を考え、農場がつくられています。また太陽光発電や水の再利用をすることによって、自然環境への負荷を減らした周辺設備が作られています。
アクアポニックスはそれ自体がオーガニックな栽培方法ですが、こうした取り組みは農場をよりオーガニックなものにしているように感じさせられました。
<NFT建設の進捗>
最後に、前回ご紹介したNFTの建設について紹介します。5月末より空いた時間を使って進めていますが、現在は10列のうち4列が完成しました。水を循環させるポンプとホースの取り付けが終わっていないため、まだ稼働することはできません。
ili’ili farmのあるワイアナエは日中の気温が高く、作業ができるのは午前中のうちだけですが、およそ一か月で約半分作ることができました。
このNFTシステムの架台は2×4材と2×6材、それにブラケットと呼ばれる金物だけでできています。簡単な設計で施工しやすく、一人でも作業ができることから、制作も捗ります。
Twitter:@aquaponic_s
Instagram:@aquaponic_s
Facebook:@ouchisaien
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