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露地でもできる?アクアポニックスの設置場所による違いを解説

導入コンサルテーション

アクアポニックスは、少ない資源で多くの食料を生産する画期的な方法ですが、実際のところ露地と屋内のどちらがより良いのでしょうか?
この記事では、各システムの実用性を比較しながら、それぞれの特徴と課題を解説します。

1. アクアポニックスで実現する持続可能な農業

  • 1-1. アクアポニックスの基本

アクアポニックスは水耕栽培と陸上養殖を組み合わせた循環型農業です。
この方法は水を再利用し、化学肥料の使用を削減するため、環境に優しい持続可能な農業方法とされています。水槽で飼育された魚からの排泄物が植物に栄養を提供し、植物はその栄養を吸収して水を浄化します。
これにより、水と栄養が循環し、従来の農業方法に比べて水の使用量を大幅に削減できます。

  • 1-2. 露地と屋内でのアクアポニックスの違い

露地アクアポニックスと屋内アクアポニックスでは、設置場所によって異なる管理が必要です。
露地では自然光を活用できる一方で、気候や外部環境の影響を受けやすいです。
これに対し、屋内アクアポニックスでは環境を完全にコントロールできるため、年間を通じて安定した生産が可能です。ただし、光源として人工照明や水温調整機材が必要とするため、エネルギーコストが増加することも考慮する必要があります。

太陽光型システム

2. 露地でのアクアポニックス

  • 2-1. 露地アクアポニックスにおける大きな利点

露地でのアクアポニックスは難しいと思われるかもしれませんが、運用は可能です。
特に、露地アクアポニックスは、自然環境を最大限に活用することが最大の利点です。露地では自然な「光、水、風」を活用することができるため、植物の生育に最適な環境を提供することができます。これらは植物が生育する上で最も大事な要素となります。
また、ビニールハウスなどの建屋やLEDなどの資機材を必要としないため、他の形態のアクアポニックスシステムに比べて初期投資が少なくて済みます。
これにより、アクアポニックスを始める際の経済的な障壁が低くなるというメリットもあります。

  • 2-2. 露地アクアポニックスの課題

一方で、露地アクアポニックスは外部環境に大きく左右されるため、いくつかの課題が存在します。
気候変動による不安定な天候は水温や水質に影響を及ぼし、システムのバランスを崩すことがあります。
また、害虫や野生動物による被害も避けられません。これらの要因は、生産量の変動や品質の低下につながる可能性があるため、適切な管理と対策が必要です。
露地環境では、予測不能な天候や季節の変動に柔軟に対応する必要があります。特に日本では四季の寒暖差や台風の被害なども起こりうるため、大規模での露地アクアポニックスは難しいと言えます。
露地で行う場合、簡易的なキットで小規模に行う(家庭菜園や観賞用、教育ツールとしての活用など)ことがおすすめです。

ハワイなどの温暖な気候の場所では屋外での運用もされている

3. 屋内アクアポニックス:メリットとデメリット

  • 3-1. ビニールハウス型アクアポニックスの可能性

ビニールハウス型アクアポニックスは、露地栽培と完全閉鎖型の中間に位置づけられます。
このシステムは自然光を利用しつつ、農業用資材を導入することで温度や湿度の調整が可能なため、一定の環境制御を実現できます。これにより、植物の成長速度と品質が向上し、収穫量の増加が期待できます。
また、ビニールハウスは完全閉鎖型よりも比較的低コストで設置が可能であり、気候の不安定な地域でも年間を通じて安定した生産が可能です。
さらに、休耕地などで使われていないビニールハウスも多数ありますので、それらを修繕して使うことでコスト削減と地域創生につながる可能性もあります。

  • 3-2. ビニールハウス型アクアポニックスの制約

しかし、ビニールハウス型のシステムにはいくつかのデメリットも存在します。
例えば、外部からの気温変動による内部環境の影響を完全には遮断できないため、極端な気候条件下ではシステムの調整が困難になることがあります。特に真夏にヒートポンプなどを用いて温度を下げようとすると、莫大なエネルギーが必要となってしまいます。
また、ビニールハウス自体の耐久性にも限界があり、定期的なメンテナンスや時には交換が必要になる場合があります。
そのため、ハイブリッド型の環境制御や、季節による品種のコントロールを行うなどの工夫が大事です。

※水温調整のための資機材であるヒーターやチラーの例はコチラ

都市型農業をコンセプトとしたアクポニハウス
  • 3-3. 完全閉鎖型アクアポニックスの利点

完全閉鎖型アクアポニックス(植物工場など)は、環境を完全にコントロールすることができる最先端のシステムです。これにより、どのような気候条件下でも植物と魚の理想的な成長環境を維持することが可能です。
また、病害虫の侵入を防ぎやすく、農薬の使用を最小限に抑えることができます。これは、より安全で高品質な農産物を消費者に提供することを可能にします。
完全制御環境では、細かい気温や湿度の調整が可能で、一年中安定した生産が見込めます。

  • 3-4. 完全閉鎖型アクアポニックスの課題

完全閉鎖型システムの最大のデメリットは、高額な初期投資と運用コストです。環境制御技術や高度な設備が必要となるため、設置と維持にかかる費用が大きくなります。
また、高度な技術を要するため、運用には専門知識が求められ、日常の管理が複雑になることがあります。
このため、導入を検討する際には、長期的な運用計画とコスト回収の見積もりが不可欠です。

廃校を利用した完全閉鎖型システム。気流制御により循環効率が向上した

4. まとめ: アクアポニックスが農業にもたらす可能性

アクアポニックスは、持続可能で効率的な食品生産方法として、世界中で注目を集めています。このシステムは水の再利用を可能にし、従来の農業よりもはるかに少ない水で高い生産性を実現します。
また、化学肥料や農薬の使用を減らすことで、より環境に優しい農業が可能となります。

  • 4-1. アクアポニックスの将来展望

将来的には、アクアポニックスは都市部での食料自給自足の解決策としても大きなポテンシャルを持っています。屋上や空き地を利用したアクアポニックスファームが増えることで、都市部における新鮮な食材の供給源となり得ます。
さらに、技術の進化により、より少ないエネルギーでより多くの食品を生産する方法が開発されていくことでしょう。

  • 4-2. まず始めてみたいというときには

アクアポニックスを始めるには、まず小規模から試してみることをお勧めします
。個人であれば自宅のベランダや庭で簡単なシステムを設置し、その運用を通じて学びを深めることができます。
また、新規事業であれば、露地ではなく工場の中や倉庫、空き部屋などから小規模システムを導入し、実証試験を進めていくのがおすすめです。

アクアポニックスは露地でも、屋内でも楽しめる農業です。ただし、それぞれの特徴を理解しておかないと、システムバランスが崩れてしまう可能性もあります。仕組みを学びながら、ぜひアクアポニックスを楽しんでください。

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日時:毎週水曜・土曜 10:00~11:00
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