自作アクアポニックスキットの作り方【DIYマニュアル】

代表ブログ

√この記事を書いている私の経歴

・Amazonを辞めて株式会社アクポニを起業
・自社のアクアポニックス研究農場&生産農場を神奈川県藤沢市に開設
・収穫量が7倍以上、LED電気代が半額になる縦型栽培システム「水耕タワー」を発売
・世界で初めてアクアポニックスに特化した生産管理アプリ&センサーをリリース
過去2年間で30以上のアクアポニックス農園を全国に開設(日本最大規模を含む)
・著書:「はじめてのアクアポニックス」

こんにちは。アクポニの濱田です。

魚で有機野菜を育てるアクアポニックスという農業を世界に広める活動をしています。具体的には、農場デザイン~施工~栽培指導、学校や情報サイトの運営等が主な仕事です。

そのなかで「まずは小さくDIYでやってみたい」という要望をいただくことも多く、シンプルに作れる小型システムの作り方をまとめたいと思います。

ここで言う小型のシステムとは、室内において、ハーブ(ミントやバジル)やシーズニング(シソ、万能ネギ)等のちょっとした葉物と、金魚などの小さな観賞魚を育てることができるシステムです。大体6千円~2万円※くらいの予算で作ることができます。※価格差が大きいのはどの水槽や水槽台を選ぶかで大きく異なるためです。

それでは、早速書いていきます!
魚で有機野菜を育てるアクアポニックスという農業を世界に広める活動をしています。具体的には、農場デザイン~施工~栽培指導、学校や情報サイトの運営等が主な仕事です。

そのなかで「まずは小さくDIYでやってみたい」という要望をいただくことも多く、シンプルに作れる小型システムの作り方をまとめたいと思います。

ここで言う小型のシステムとは、室内において、ハーブ(ミントやバジル)やシーズニング(シソ、万能ネギ)等のちょっとした葉物と、金魚などの小さな観賞魚を育てることができるシステムです。大体6千円~2万円※くらいの予算で作ることができます。※価格差が大きいのはどの水槽や水槽台を選ぶかで大きく異なるためです。

それでは、早速書いていきます!

内容:

・システムについて
・システムの構造
・水の流れ
・必要な材料
・材料について
・システムの構造と材料
・必要な道具
・DIYの流れ
・設置場所を決めよう
・水槽台を組み立てよう
・塩ビパイプをカットしよう
・カットする塩ビパイプの寸法
・睡蓮鉢の底に穴を空けよう
・睡蓮鉢の底に塩ビパイプを繋げよう
・排出パイプカバーを作ろう
・水中ポンプを設置しよう
・塩ビパイプを繋げよう
・ハイドロボールを投入しよう
・野菜ベッドと排出の仕組み
・システムを立ち上げよう
・栽培できる魚と植物
・エアレーションについて
・日々のメンテナンス

システムについて

アクアポニックスをご家庭で楽しむためのシステムです。材料は全て市販品。自作(DIY)が可能です。水槽や水槽台はここで紹介しているもの以外でもOKです。お手持ちのものでも代用できます。

システムの構造(正面)

システムの構造(横)

水の流れ(正面)

水の流れ(横)

必要な材料

材料について

睡蓮鉢
ゼンスイ社の睡蓮鉢(メダカ鉢)「seselan スクエア 41 ブラック」
(幅41×奥行41×高さ18cm)

睡蓮鉢以外の商品も紹介します。
・スドー メダカの角鉢 わすみ 989円(野菜ベッド&水槽用)
・鈴木製作所 角型タライ フラット 688円(野菜ベッド用)
・鈴木製作所 角型タライ スーパー 1,278円(水槽用)

水槽台
ジェックス社の「45cm水槽用 組立2段台BK」
(幅50.5×奥行31.5×高さ69cm)
スチールラック等でも代用できます。

水中ポンプ
エーハイム社の「エーハイム コンパクトオン 600」です。2種類の周波数(50Hz/60Hz)がございますので、ご購入の際はお住まいの地域(関東/関西)に合ったタイプをお選びください。

配管(塩ビパイプ)
衝撃に強い「HIパイプ」(黒っぽい色)を推奨しています。サイズは13ミリ、16ミリ、30ミリ(内径)タイプで、通常のパイプに加え、エルボ(L字のもの)と継手(接続用)を使用します。いずれもホームセンターで入手が可能です。

Oリング
睡蓮鉢の底に塩ビパイプを接続する際に使用します。こちらは20mmのタイプを使用ください。

ハイドロボール
上部の睡蓮鉢(野菜ベッド)に敷き詰める培地となります。粘土を高温で焼いたもので、20リットル分が必要となります。

システムの構造と材料(正面)

システムの構造と材料(横)

必要な工具

電動ドライバー
電源式とAC式があり、屋外などの電源がない場所での作業を想定される場合は、AC式がおすすめです。こちらにホールソーを接続して、睡蓮鉢の底の穴あけ作業や排出パイプカバー作りを行います。

塩ビパイプカッター
塩ビパイプの切断作業時に使用します。30mmまでのパイプが切断可能なタイプをお選びください。

ホールソー(樹脂用)
排出パイプカバーの穴あけ作業時に8mmを、睡蓮鉢の底の穴あけ作業時に20mmを電動ドライバーに接続して使用します。

回転ヤスリ
排出パイプカバーの穴あけ作業時の仕上げに使用します。必須ではありませんが、あると良いです。軸の直径が8mm以下の三角型を推奨。

DIYの流れ

1.設置場所を決めよう
2.水槽台を組み立てよう
3.塩ビパイプをカットしよう
4.睡蓮鉢の底に穴を空けよう
5.睡蓮鉢の底に塩ビパイプを繋げよう
6.排出パイプカバーを作ろう
7.水中ポンプを設置しよう
8.塩ビパイプを繋げよう

1. 設置場所を決めよう

まずは、システムを設置する場所を決めましょう。日当たりや日照時間、メンテナンスのしやすさなどの面から決めるとよいでしょう。基本的には、屋内への設置をおすすめしています。

日当たりと日照時間
植物を育てる以上、日当たりはとても重要となります。できれば6時間以上日照時間が確保できる場所に設置しましょう。ただし、魚タンクに直射日光が当たるとコケが発生しやすくなるため、野菜ベッドに日光が当たりやすい環境を選びましょう。

メンテナンスのしやすさ
魚のエサやりや観察、収穫など、日々のメンテナンスがしやすい場所に設置しましょう。システムが観察しやすく、かつ邪魔にならない場所が良いでしょう。

2. 水槽台を組み立てよう

設置場所を決めたら、システムの基礎となる水槽台を組み立てます。この上段と下段に睡蓮鉢を設置します。上段が野菜ベッド、下段が魚タンクとなります。

3. 塩ビパイプをカットしよう

水槽台を組み立てたら、次は塩ビパイプをカットしていきましょう(13、14ページの図を参考ください)。カットには、塩ビパイプカッターを使います。カットした塩ビパイプは、一旦脇に置いておきましょう。後でまた使います。

カッターの刃は鋭利になっていますので、ご使用の際は十分に注意して作業ください。また、濡れた手で作業をすると手がすべって危険ですので、しっかりと手元を確認し、可能であれば2人で作業を行いましょう。

カットする塩ビパイプの寸法(正面)

本寸法は、水槽にゼンスイの睡蓮鉢、水槽台にジェックス社「45cm水槽用 組立2段台」を使用した場合です。他の商品を代用する場合、乾燥ゾーンを考慮した寸法としましょう。※乾燥ゾーンについては19ページを参照。

カットする塩ビパイプの寸法(横)

本寸法は、水槽にゼンスイの睡蓮鉢、水槽台にジェックス社「45cm水槽用 組立2段台BK」を使用した場合のものです。

4. 睡蓮鉢の底に穴を空けよう

塩ビパイプのカットが終わったら、上段に置く睡蓮鉢(野菜ベッド)の底に穴を空けましょう。電動ドライバーに20mmのホールソーを装着し、正面から見て左奥の位置に穴を空けます。

この穴は下段の睡蓮鉢(魚タンク)に続くパイプのためなので、実際に水槽台にも置き、水槽台のフレームと重ならないよう、穴の位置が問題ないか確かめてから作業に入りましょう。

この穴は下段の睡蓮鉢(魚タンク)に続くパイプのためなので、実際に水槽台にも置き、水槽台のフレームと重ならないよう、穴の位置が問題ないか確かめてから作業に入りましょう。

<注意>
力を入れすぎると睡蓮鉢に亀裂が入る可能性があります。ホールソーでの穴空け作業時は、少しずつ押しながら表面を削るようなイメージで作業しましょう。

5. 睡蓮鉢の底に塩ビパイプを繋げよう

睡蓮鉢の底の穴空け作業が終わったら、次は継手パイプの装着です。下の図を参考にしながら作業してみましょう。両面にOリングを装着することも忘れずに。これが水漏れ防止となります。

継手パイプの直径と穴のサイズはぴったりですので、少し入れづらいかもしれません。睡蓮鉢の状態も気にしつつ、オスを回しながら力を入れて押し込みましょう。

作業が終わったら、一度睡蓮鉢に水を少し入れて、水漏れがないか確認するとよいでしょう。

6. 排出パイプカバーを作ろう

睡蓮鉢の底にパイプを装着したら、次は21mmパイプに穴を空けて、排出パイプカバーを作りましょう。これによって野菜ベッド内の排出パイプにハイドロボールなどが侵入することを防ぎます。

電動ドライバーに8mmのホールソーを装着して、パイプにたくさんの穴を空けます。全てに空ける必要はなく、下5cm程は残しても問題ありません。最後は回転ヤスリで穴の周辺をスムーズにします。

根気のいる作業ですが、これが終われば、完成まであと一歩です。
がんばりましょう!

上級者向け

市販の丸ノコを使って、塩ビパイプにラインを入れるように、線状に穴を空ける方法もあります。パイプ全体(360度)に穴が空くように、少しずつずらして空けるとよいでしょう。この場合ヤスリは不要です。

7. 水中ポンプを設置しよう

排出パイプカバーが完成したら、次は下段の睡蓮鉢に水中ポンプを設置しましょう。右奥に吸盤でしっかりと固定してください。本体の「EHEIM」の文字が正面を向くように置くとよいでしょう。

8. 塩ビパイプを繋げよう

水中ポンプを設置したら、いよいよ塩ビパイプを繋いで完成です!
13、14ページの図を参考に、カットした塩ビパイプ、排出パイプカバー、エルボ、継手パイプを繋げていきましょう。水漏れしないよう、はめるときはしっかり力を入れて押し込みましょう。(1.5〜2cm程度入ります)

ハイドロボールを投入しよう

システムが完成したら、上段の睡蓮鉢(野菜ベッド)にハイドロボールを約20L投入しましょう(睡蓮鉢の縁の2〜3cm下くらいまで)。投入の前に一度水洗いをすることを忘れずに。市販の洗濯ネットなどを活用して、水の濁りがなくなるまで洗いましょう。(2〜3回)

野菜ベッドの排出の仕組み

魚タンクから水中ポンプによって野菜ベッドに送られてきた水は、野菜ベッドにある排出パイプの水位まで貯まり、それを超えると下に溢れます。このときにハイドロボールがパイプ内に侵入しないよう、排出パイプカバーによってガードされる仕組みです。

システムを立ち上げよう

ハイドロボールを野菜ベッドに敷き詰めたら、いよいよ水を投入して、運転開始です。まず、魚タンクの8分目くらいまで水を入れ、その後に野菜ベッドにも同じように水をゆっくり入れます。水が排出パイプから魚タンクへ流れ落ちたらストップしましょう。水のカルキを抜いておくことも忘れずに。丸1日、日光の下に置いておけば、カルキが抜けます。

水を投入したら運転開始ですが、システムを立ち上げるときの方法としては、最初から魚を投入する方式と、魚は投入しない方式の2つがあります。

1. 魚を投入する方式

まず、近所のホームセンターや熱帯魚ショップで、金魚を2~3匹購入して魚タンクに投入します。(“小赤”と呼ばれる金魚が安価で手に入ります)

毎日餌を与え、市販の試薬キットでアンモニア、亜硝酸塩、硝酸塩濃度を毎日計測します。アンモニア濃度が1ppmを超えたら、餌やりをやめます。その後、アンモニアと亜硝酸塩濃度がゼロに近くなったら、植物を植えてOKです。この方式で、4~6週間ほどで立ち上げ可能です。

2. 魚を投入しない方式

まず、市販のアンモニア水を購入します。それを魚タンクに投入しますが、アンモニア濃度が2-4ppmになったところでやめます。(ティースプーン半分くらいの量が目安です)

そこから毎日アンモニア、亜硝酸塩、硝酸塩濃度を計測し、アンモニア濃度、亜硝酸塩濃度が下がり始めたら、植物を植えます。微生物が繁殖してきた証拠です。アンモニア濃度がゼロに近くなったら、魚も投入しましょう。この方式だと、1〜3週間で立ち上げ可能です。

栽培できる魚と植物

体長10cmくらいまでの淡水魚であれば、基本的には飼育可能です。おうち菜園では、丈夫な金魚を推奨しています。

植物に関しては、ミント、ルッコラ、イタリアンパセリ、紫蘇、万能ネギなどがよく育ちます。ハーブ類、葉物野菜などの栽培に適しています。

日々のメンテナンス

システムが立ち上がった後の日々の作業は、主に魚の餌やりです。水質チェック(pH、硬度、アンモニア濃度、亜硝酸塩濃度、硝酸塩濃度)はできれば週に1回は行うようにしましょう。基本的に水換えは必要ありませんが(水質の急激悪化の場合を除く)、水は蒸発するので、定期的に水位をチェックして、少ないようであれば足しましょう。

あとは、野菜・ハーブを収穫して、ぜひご自宅の小さな生態系(アクアポニックス)で育った収穫物を家族や友人と味わってみてください!

※本記事は無料公開していますが、PDFでダウンロード(有料)したい方はこちらへどうぞ

\お知らせ/

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