お知らせ
アクアポニックスで起業して自作から市販キット開発するまでの話
お知らせ
今回開発した商品は、魚を飼育するだけでオーガニック野菜が育ち、魚の水換えなども不要となるもの。お部屋の中にちいさな地球(生態系)が生まれる、教育商品です。
▲カラーはマットブラックとマットホワイトの2色
祭りで、ペットショップで出会い、「かわいいな」と飼いはじめた金魚。
はじめは、エサやりが楽しくても、徐々に飽きてしまい、水はどんどん汚れていき、水槽はあっという間にコケだらけに。
みなさんは、こんな経験をしたことはありませんか?
家庭菜園でも、忙しくて時間がないと、水やりを忘れて植物を枯らしてしまう。
そんな経験を持っている方も多いのではないでしょうか。
「アクアスプラウトSV」が家庭に1台あれば、魚の飼育(アクアリウム)と家庭菜園を一緒に楽しむことができます。
魚の力で野菜やハーブがすくすく育ち、植物の力で水は浄化。魚、植物、そしてあなたもうれしい、まるで”小さな生態系”のような、これまでにない全く新しい商品です。
45cm水槽があれば、そこにパカッとはめるだけで出来上がり!
生き物の癒し、そして、有機野菜やハーブを家庭で自給する喜びを気軽に味わうことができます。
「アクアスプラウトSV」の魅力を伝えるうえで触れておきたいものが、アクアポニックス(さかな畑)と呼ばれる新しい農業の形。
いま、エコな農業として世界で注目を浴びている農業「アクアポニックス」の魅力を、家庭でも体験できるのが、「アクアスプラウトSV」なんです。
アクアポニックス(さかな畑)とは
アクアポニックスとは、魚、植物、微生物の3つが支えあって育っていく、循環型の有機農業のこと。
簡単に言うと、野菜の水耕栽培と魚の養殖を組み合わせて、野菜と魚を同時に育てます。
生態系を生かした、地球に最もやさしい次世代農業として、世界で注目を集めている農業です。
露地栽培と比べて生産性が高く、場所を選ばず安全で質のよい野菜と魚が収穫できます。
▲ハワイのアクアポニックス農場
家庭菜園としても手間がかからず簡単なので、自宅やオフィスで無農薬の野菜やハーブを収穫したり、学校教育や介護施設でも取り入れられています。
▲家庭菜園や学校向けの小型システム
アクアポニックスは、食べ物の成り立ちや生態系の循環について学べるだけでなく、特にアメリカではSTEM教育の一環として小学1年生から高校3年生まで、年齢に応じたカリキュラムで教えられています。
アクアポニックスシステムは科学や数学で成り立っているので教材としてピッタリなのです。もちろん、収穫した野菜・ハーブは美味しく食べることができますよ。
創業ストーリー
はじめまして、濱田と申します。株式会社おうち菜園、という会社の代表を務めています。
アクアポニックス(さかな畑)に出会い、「これを世界に広めよう!」と思い立ち、5年前に大手外資系企業を退職。その後、農業学校で有機農業をゼロから学び直し、おうち菜園を創業。”アクアポニックスを広げる人”になりました。
世界中で広がりつつあるアクアポニックスに魅せられ、「日本にも広めたい」という想いを形にしたのが、おうち菜園という会社です。
自分で食べ物を育てるプロセスから生まれるポジティブな気持ち、その行動を広げようと、「生産者=わたし、を増やしたい」をビジョンとして活動しています。
以下、アクアポニックスとの出会いから、アクアスプラウトSVを開発するまでの、道のりを書いていきます。
言い換えると、なぜ当時日本で誰も知らなかった「アクアポニックス~さかな畑~」を商材に選び、どのようにビジネスとして成立させたのか、というストーリーです。
▲ アクアポニックスの学校「AQUAPONICS ACADEMY」での一場面
アクアポニックスとの出会い
私がアクアポニックスを知ったのは、アマゾンに住むピラクルという淡水魚の「養殖に使った水を隣の畑にまく」という農業の記事を読んだことがきっかけです。
宮崎の田舎で魚屋の長男として育ち、魚釣りを愛する僕には、”魚で野菜を育てる”というコンセプトが輝いて見えました。その時の「すごい!」という高揚感が今でも続いています。
▲ ライフワークの釣り
早速ベランダに小さなシステムを作り、実践をはじめました。当時、日本語の本や動画は無く、すべてを英語で学ぶ必要がありました。外国人にも助けてもらい、ようやくできたのがこちら。
アクアポニックスをはじめると、そこに自然と生態系ができます。それは、”野菜”と”魚”と”微生物”の共生環境です。
特に何もしなくても、その生態系の力で野菜が育ちます。
これまでの家庭菜園では、「野菜を育てる」ために、毎日水やりして、葉っぱが黄色くなったら肥料を与え、害虫がついたらシュッとスプレーをしていました。野菜の周りにいる虫や微生物たちにとっては、いい迷惑です。
一方、アクアポニックスでは、野菜を育てるのではなく、生態系を見守ります。
実際の作業は、毎日魚にエサを与えて、2週間に1回、蒸発した分の水を足すくらい。
植物・魚・微生物がつくる生態系が自然と生まれ、そして半永久的に循環を繰り返します。自然が人の手を必要とせずとも存在するように、ただ見守ることで、作物がすくすくと育つのです。
当時の僕は、趣味で養蜂もやっていました。ミツバチを飼ってハチミツをいただく(収穫する)、あの養蜂です。
ハチを通して自然を体感でき、不思議とハチもかわいく見えてきます。ただ、そのミツバチたちが巣箱の周りで死んでしまったことがありました。
原因は、近くの田んぼでまかれた農薬でした。。
僕はアクアポニックスをはじめたことで、これまで気にしていなかった植物の周りにある生態系がはっきりと見えてきました。
自然界ではすべての生き物がつながって、共に生きています。僕がこれまでベランダ菜園で当たり前に行っていたことは、植物のことしか考えていなかった部分最適の解であったと気がつきました。
ミツバチを死なせたのと同じことを自宅のベランダでしていたのです。
「管理するのではなく、環境を整え、見守ることだけで、すくすく成長するんだ」
これまでは必要な環境が見えていなかった。そして独善的な管理をしていた…
「畑には、なにが見える?」
これまでは野菜だけだったかもしれません。でも今は、違います。
はっきりと、野菜と共に生きる、そこにある生態系が見えるようになりました。
▲畑には、なにが見える?
これを体感できて「これ、すごくいいな」と思いました。
そして、近所の幼稚園でアクアポニックスを作り、園児たちと一緒に野菜を育てることをはじめました。
思ったとおり、園児たちの目はキラッキラ!特にママたちの反応がとてもよかった。
「これは何ですか?」からはじまり、「えー!」とか「すごーい!」
そして最後は、「うちにもほしいー!」笑。園長先生もママたちの反応をとても喜んでくれました。
僕が腹を決めたのはこのときです。
「これをもっと広めたい!」
植物を育てることから生まれるポジティブな気持ち、小さな行動の変化をもっと広げていきたい。
アクアポニックスは、その最高のツールだと思いました。
会社設立
当時会社員だった僕は、有機農業を学べる「アグリイノベーション大学校」に1年間通い、集中的に有機農業を学びなおしました。
▲有機農業学校時の稲刈り
そして卒業後、会社を退職して、株式会社おうち菜園を創業しました。お客さんは一人もいません。
当時「アクアポニックス」で検索しても殆ど情報は出てきません。また、Googleトレンドで「アクアポニックス」の検索数を調べても(少なすぎて)計測不能でした。殆ど誰もアクアポニックスについて知らなかったのです。。
結果から言うと、創業から3年間、僕には給与がありませんでした。苦しい状態が続きましたが、アルバイトしながら、少しづつ事業基盤を整えていきました。
日本での課題
一番初めに行ったのは、世界で注目を集めているのに、どうして日本では誰もやっていないのか。ここに向き合うことで、やるべきことを考えていきました。
課題は3つありました。
【情報発信】当たり前ですが、誰も情報を発信しないので誰も知らない。
【教育】例え知ったとしても、学ぶ場がない。本すらも一冊もない。
【実践】そして誰もやっていないので実践を共有することもない。
この3つの課題それぞれを事業で解決しよう!と思い、できることからはじめていきました。
メディア事業では、とにかくアクアポニックスについて知ってもらいたいので、記事を無料で発信し続けています。海外の実践者と協力して、日本向けにマニュアル本も出版しました。
マニュアル本を試し読みする。
ここでの目的は、啓蒙活動とともに、どこにどんなニーズがあるのかを探ることでした。実際に、情報を発信していくなかで、少ないながらも反応があり、家庭菜園・教育・介護のニーズがあることが分かってきました。
以降はニーズがあるものから順に事業を作っていきました。
そしてこの頃から海外の農場や研究所を回ってお手伝いすることをはじめます。欠けていた知識や技術を学ぶためです。(その後アメリカへ拠点を移してから訪問数は一気に加速します)
スクール事業では、こちらも海外の実践者たちと協力してつくったオリジナルのカリキュラムでアクアポニックスを指導しています。通学コースの開講から1年後、オンラインコースも開講しました。
▲ ハワイの農家さんと
システム事業では、家庭菜園~介護~教育~農業用途まで、幅広くアクアポニックスを実践してもらえるように、設計図を公開して、資材や栽培キットを販売しています。
創業した頃と比べると、ずいぶんと仕事の幅も広がりました。
実際にテレビ等でも何度か取り上げていただき、認知度も上がってきたと実感しています。そして、ようやく4年目にして、会社から給与をもらえるようになりました。
けれども、、、
「これを読むまで、あなたはアクアポニックスについて知っていたでしょうか?」
「あなたの周りで、何人の方がアクアポニックスについて知っているでしょうか?」
本当にまだまだなのです。ようやくスタート位置に立てたのが、”今”だと思っています。
ここから先、日本はもちろん、もっと世界へと広げていきたいです。
▲アクアポニックスで育てたピーマンを収穫
ジャックとの出会い
今回の新商品「アクアスプラウトSV」を語るうえで外せない人物がいます。アメリカにあるアクアスプラウト社の代表、ジャックです。
▲ ジャック。アメリカにあるラボにて
彼とはじめて会ったのは起業前に有機農業の学校に通っているときでした。
当時ジャックもアクアポニックスの未来を信じ、起業を考えていました。家庭用栽培キットの可能性について教えてくれたのは、ジャックでした。
▲ コロラド州でのイベントにて
これが学校やオフィス、お店など人が集まるところに置かれることで、アクアポニックスを知る、体験する人が増えるのでは?と期待したのです。
その後、一緒に開発を進め、キックスターター(アメリカのクラウドファンディングサイト)で600万円を集め、特許を取得し、中国の工場で生産をはじめました。
それが今回の商品の前身となる、アクアスプラウトです。
▲初期型アクアスプラウト
アメリカで大ヒットしたこの商品は、初年度7千台以上が売れ、2年目はさらに増産しています。ジャックはいまやアメリカのアクアポニックスシーンを牽引する存在になりました。
▲ 日本での検品時
日本向けに開発したい
ただこの商品を、日本で多くの方に使っていただくには、大きな課題があります。日本の水槽規格が45cm幅なのに対して、アメリカは50㎝。そう、アクアスプラウトは50㎝に合わせて作られているのです。
つまり、日本でこの商品を使うためには、たとえ家で45㎝水槽でさかなを飼育していても、50㎝水槽を別途購入する必要があります。規格外の水槽なので特注となり、価格も高くなります。
▲45cm幅の日本向け新商品
今回、僕はこの商品を、より品質を上げたうえで、日本用に45cm幅で作り直します。水槽でさかなを飼育している方であれば、ポンっと上に被せるだけで、野菜も育てられるようになる。加えて、これまでよりずっと安価で提供できます。
そして、生産地はこれまでの中国ではなく、日本とします。日本の町工場には、世界に誇る技術があるからです。
これからアクアポニックス文化を日本に根付かせるうえで、日本で生まれた高品質な商品を、世界へ向けて発信したいと思いました。
▲ 工場で打ち合わせ
▲ 設計者の小竹さん、島田さんと
日本向けのアクアスプラウトは、カラーを増やし(マットブラックとマットホワイトの2色)コケ対策を施しました。商品名はアクアスプラウトSVです!
▲ 完成した日本向けアクアスプラウトSV
想い ~まずは体験してほしい~
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
僕には夢があります。
「アクアポニックスを世界に広げたい!」
そのために1歩1歩今しかできないことを一生懸命やっていこうと思います。
アクアスプラウトでなくてもよいので、ぜひアクアポニックスを体験してみてください。面白いと思いますよ!
\お知らせ/
日本初で唯一のアクアポニックスを学べる学校「アクアポニックス・アカデミー」に新たに農場実習が加わりました!3カ月でアクアポニックスのプロへ!2023年3月生を募集中!詳細、お申込みはこちらブログを更新したらTwitterとFacebookで通知します。アクアポニックスのノウハウや農場の様子も発信中。フォローください!
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